2016年09月04日

ステロイドと免疫抑制剤と抗がん剤

びびるいの経過 2016.08.31 のとこにも書きましたが、
補足して別記事にします。


ホントは PLE DOGS FORUM のページにしたいんだけど、なかなか・・・追いつかない(汗


*PLEは複雑な病気です。以下はあくまで簡単に説明すると・・・のお話ですので、誤解のないようにお願いします。
びびるいの主治医、各大学の先生方、から伺ったお話を元に自分なりにまとめたものになります。間違いがある可能性もありますので・・・・念のため



まずは免疫反応のお話。


免疫反応は強すぎても弱すぎても病気になります。

免疫反応とは、自分の身体に対して「悪影響」を及ぼす「敵」に対して攻撃をしてやっつける反応です。
正しく働いてくれないと、様々な病気が起ります。


免疫反応が強い状態・・・

本当は「敵」ではないもの(食べ物や自分の細胞など)を、「敵」だと勘違いをして攻撃をしてしまう状態です。

アレルギー・自己免疫疾患などの病気になります。



免疫反応が弱い状態

ウイルスやがん細胞などの「敵」がいても攻撃をしない、もしくは攻撃力が弱い状態です。

ウイルス性の病気、ガンなどの病気になります。


PLE(タンパク漏出性腸症)の原因の多くはIBD(炎症性腸疾患)とIL(リンパ管拡張症)です。
どちらの病気も原因は定かではありませんが、免疫反応が強すぎて起る病気といわれています。
(免疫疾患はいろいろな病気を併発しますので、単純ではないのでご注意を)

そのため、いわゆるアレルギーやアトピーなどとの関連が深い病気です。



では、ステロイド剤のお話


PLEの最初の治療としてステロイドを使うのは、まずは腸内で起きている炎症反応を抑える目的です。
ステロイドは炎症を抑える薬ですから、腸内の炎症を抑えることによって、腸の働きを正常に戻し、タンパク質(栄養)を腸から吸収できるようにする、タンパク質が腸管に漏れ出さないようにする、ことを目的として使います。
(ステロイドも使用量によっては免疫抑制効果もありますが、ここでは省きます)

ここの段階で想定されているのは免疫の過剰反応によって起る炎症です。
特定の食べ物(栄養)に対して、「敵」だと思い込んで攻撃をする「抗体」ができてしまっている状態。
その食べ物を食べると腸壁では抗体による攻撃がはじまりそこに炎症が起きます。
この炎症を抑えるのがステロイド剤です。


ステロイドが効くということは・・・免疫の過剰反応による炎症が治まったということになります。


ステロイドが効かないということは・・・そもそも原因がIBDではない(免疫過剰反応による炎症ではない)・・・という可能性が出てきます。



免疫抑制剤と抗がん剤のお話


ステロイドは長期使用は避けたい薬です(副作用多数ですから・・・ここでは割愛します)
なので、ステロイドを減薬していきます。

炎症が治まってしまえば、寛解状態を保てる子は順調に減薬・断薬できます。

減薬できない子・・・理由は様々ですが、食べ物が炎症の誘因となる場合が多いので、食べ物を変えなければ、炎症を繰り返してしまいます。
身体にあった食べ物をみつけられれば、減薬・断薬できます。
見つけるのは大変です・・・そして、免疫反応は複雑なので、大丈夫だったものが、ダメになることは多いです。

ステロイドは効く。。。けど減薬ができない。。。

この場合に、免疫抑制剤を使います。

免疫の過剰反応による炎症を抑えればいいわけですから、

免疫の過剰反応を弱めてくれる、免疫抑制剤 が有効なわけです。




では、そもそもステロイドが効かない子はどうすればいいのか・・・。


まず、考えられることとしては、IBDではないという可能性です。

IBDと高分化型リンパ腫の判別はとても難しいのです。

高分化型リンパ腫とIBDの病態(組織上)は非情によく似ています。
確定診断のための生検での病理検査でも、クロナリティ検査でも、診断はとても難しいのです。

そのため、IBDやILの子たちには、常に高分化型リンパ腫の可能性がある・・・おどかす訳ではありませんが・・・今後のためにもこれを頭に入れておいた方がよいです

ステロイドが効かないということは、炎症が治まらないということ。
ということは、そもそもこの炎症の原因が何なのか?ということになります。

そこで出てきてしまうのが高分化型リンパ腫(ガン)の可能性です。


ガンだった場合、免疫抑制剤を使うとどうなるか・・・。

免疫(抗体)はガン細胞をやっつける働きをするものです。

免疫を抑制するということは、ガン細胞をやっつける働きを抑制することになります。

当然、ガン細胞は暴れ出します。。。



ちょっと前まではステロイドが効かないから、免疫抑制剤を・・・という使われ方もしていたようですが現在ではこの使い方は意味がないという見解になってます。

言い方悪いですが、以前はステロイドが効かない子には打つ手がなかったので、免疫抑制剤でも使ってみよう・・・的なものだったそう。
(大学の先生数人に直接聞いて裏とってます・・・笑)

以前はIBDと高分化型リンパ腫についての研究が進んで無かったからなので、仕方ないです。


データとしても、ステロイドが効かない子に免疫抑制剤をつかっても、予後は悪いという結果が出てます。
(学会講演資料として出されたものなので、論文にはなってないかも・・・)


現在はステロイドが効かない子にはクロラムブシル(抗がん剤)を使います。
理由としては、この病気と高分化型リンパ腫との診断(判別)がとても難しいため、この病気の子たちには常に高分化型リンパ腫疑いがあるということが大きいからです。
ステロイドが効かないとなれば、高分化型リンパ腫の可能性は高くなってきますから。。。

(免疫抑制剤と比較して、クロラムブシルの方が予後はよいようだ・・・との見解でした。これからデータとして出てくるでしょう・・・。)



ちょっと蛇足ですが・・・

ここで疑問・・・

IBDと高分化型リンパ腫の判別が難しい、リンパ腫の可能性があるから抗がん剤をということは理解できる。
でも、実際、リンパ腫じゃない可能性もある。

じゃぁ、リンパ腫じゃない子にクロラムブシル(抗がん剤)を使って大丈夫なのか・・・?

もうね、こういう屁理屈な疑問ばっかり浮かぶのよ・・・(^^;

で、恒例の先生、教えてちゃんw

抗がん剤は白血球に攻撃をする薬。
免疫の過剰反応は抗体(リンパ球が作る)の暴走。
そもそもの白血球自体を攻撃する薬なので、過剰な免疫反応の抑制効果もある。


のだそうです。

ちょっと難しいんだけど、ようは、大丈夫ってことなのです。



IBD・IL・高分化型リンパ腫は単純な病気ではないので、いろんな要因が合わさっていますし、併発します。


なので薬ひとつにしても、いろんな可能性を考えて使わないと、意味がないどころか、悪化させてしまいます。

獣医療は日々進歩してます。
喜ばしいことではありますが、数年前の常識は今の非常識だったりもします。
残念ながら、新しい情報を知らない先生方もいるようですので。。。

現在でも、ステロイドが効かないからといって安易に免疫抑制剤を処方される先生もいるらしい・・・。

薬の投与、治療の方針などは、ホントに慎重に慎重に、主治医の先生と話をしてくださいね♪
posted by ackiy at 00:00| よもやまばなし